人工呼吸器グラフィックの応用
- 人工呼吸器のグラフィックとは何ですか?
- 気道内圧・フロー・換気量などをリアルタイムに波形で示したものです。
波形の種類には、時間軸と組み合わせて、圧・フロー・換気量を表示する波形と、換気量と気道内圧や換気量とフローを組み合わせた波形があります。グラフィック波形から、人工呼吸器の設定状況や妥当性、患者の状態、治療や看護の評価、アラームなどの対処時などに的確に判断できる材料となります。
- グラフィックの基本波形と特徴は、以下の通りです(図1)。
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図1 圧/フロー/換気量-時間曲線 
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一段目は圧-時間曲線で、縦軸が圧で横軸が時間となります。大気圧が0cmで上向きが陽圧・下向きが陰圧になり、通常はPEEP圧がベースラインになります。
二段目はフロー-時間曲線で縦軸がフローで横軸が時間となります。流量が0ラインより上が吸気・下が呼気となり、囲まれる面積は換気量を表します。
三段目は換気量-時間曲線で縦軸が換気量で横軸が時間となります。吸気は0から始まり上昇傾斜となり吸気量を表し、呼気は下降傾斜で0に戻り呼気量を表します。
- アシストコントロールモード(VC)で換気量低下アラームが鳴り、グラフィック波形が左から右に変化しています(図2)。考えられる原因は何でしょうか?
- リークが原因で換気量が減少していると考えられます。
図2 圧、フロー、換気量波形に変化があります 
- VC(ボリュームコントロール)なので、吸気では設定した量とフローを送っていますが、同じ換気量を入れているのに、圧波形ではアラーム時に回路内圧が低下しており(図2-A)、フロー波形では呼気フローが上昇しています(図2-B)。これはPEEPを維持するためと考えられます。換気量波形では、吸気で送った換気量が呼気で完全に戻ってきていません(図2-C)。
回路の接続不良やカフ圧の低下などによるリークが考えられます。
- アシストコントロールモード(PC)で換気量低下アラームが鳴り、グラフィック波形が左から右に変化しています(図3)。考えられる原因は何でしょうか?
- 抵抗が原因で換気量が減少していると考えられます。
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図3 フロー、換気量波形に変化があります 
- PC(プレッシャーコントロール)なので設定圧を維持していますが(図3-A)、フロー波形ではフローが上昇せず面積が小さくなっており(図3-B)、ガスが入っていかない状況と考えられます。また呼気でもスムーズな呼気の流れがなく、ベースラインに戻るまでに時間がかかっています(図3-C)。換気量波形では同じ圧をかけても換気量が入っていないことから、患者さんの気道抵抗の上昇や気管チューブの閉塞などによる抵抗の為、ガスが入りにくい、出にくい状況と考えられます。
- アシストコントロールモード(VC)で回路内圧上限アラームが鳴り、グラフィック波形が左から右に変化しています。患者1と患者2では波形が違います(図4・5)が、考えられる原因は何でしょうか?
- 患者1は抵抗が原因で、一方、患者2はコンプライアンスの低下により圧が上昇していると考えられます。
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図4 患者1 圧、フロー波形に変化があります 
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図5 患者2 圧波形に変化があります 
- 患者1では、VCなので設定された換気量を送っていますが、次第に最高回路内圧が上昇しています。しかし、プラトー圧は上昇していません(図4-A)。プラトー圧とは、吸気終末でガスの流れのない状態を作った時の圧で、気管チューブや気道の抵抗などの影響を受けず、肺の圧を反映しています。プラトー圧が上昇せず、最高気道内圧との差が拡大する場合には肺の圧は変わらず、気道抵抗が増加したと考えられます。VCなので吸気フローは設定通りですが、呼気フローが延長しており(図4-B)、ガスが出にくい状況と考えられ、抵抗により回路内圧が上昇していると考えられます。
- 一方、患者2では、VCなので設定された換気量を送っていますが、最高回路内圧(図5-A)、プラトー圧(図5-B)共に上昇しています。プラトー圧も上昇していることから、肺・胸郭のコンプライアンスの低下による圧の上昇と考えられます。無気肺や肺水腫の増悪などの病態の悪化や気管チューブの片肺挿管などが原因として考えられます。
- 以上、人工呼吸器のアラームの原因についてグラフィックを活用して考えてみました。人工呼吸管理中のアセスメントでは、患者・機械・回路・人工気道など様々な状況を総合的に評価することが必要となります。同じアラームが鳴っていても、患者の状況やモード・換気様式によって原因が異なります。何か変化があった時にその原因を突き止めるためにグラフィック波形は重要な情報のひとつとなります。
- ※人工呼吸器の種類や設定・状況により波形・原因が異なる場合があります。

