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人工呼吸中の合併症

人工呼吸管理中に起こる合併症とは?

人工換気中に考慮しなければならない合併症について解説いたします。

人工呼吸管理中の合併症にはどんなものがありますか?
人工呼吸管理中に起こる合併症には、陽圧換気や高濃度酸素の投与によるもの、換気のための気道確保の方法である人工気道(気管チューブ、気管切開チューブ)によるもの、体動制限や臥床によるものなどがあります。

また、換気血流比不均等分布・皮下気種・精神的ストレス・イレウスなど複合的に原因関与する合併症もあります。
今回はこれらの合併症の中から肺障害について説明いたします。
人工呼吸中に肺損傷が発生する要因は何ですか?
人工呼吸中に発生する肺障害である人工呼吸惹起性肺損傷(VILI: ventilator-induced lung injury, VALI: ventilator-associated lung injury)は、肺胞の過伸展あるいは虚脱再開通により惹起されると言われています。

肺内に虚脱肺胞が存在することで換気されやすい肺胞が過伸展するため、再開通した肺胞と虚脱したままの肺胞の境界で擦れ合うことになること(ずり応力)も要因となります。

肺損傷の予防法と注意点

肺損傷を予防するための方法にはどんなものがありますか?
肺リクルートメント法を行います。これは虚脱肺胞を開通させるためと、ずり応力を軽減するための方法です。

肺胞開存手技(Recruitment maneuver) ・ Open Lung Approach ・ Open Lung Strategyとも言われ、虚脱した肺胞を再開通することで肺胞障害を防ぎます。
肺リクルートメント法とはどんなものですか?
肺胞は一度膨らませるとより低い圧で同じ肺気量を保つことができるため、一時的に高い気道内圧をかけます。
これにより虚脱していた肺胞を膨らませること(再開通)を期待しています。

ただし一時的に高い気道内圧をかけるだけでは再び肺胞が虚脱してしまうため、呼気時に高いPEEPを維持することで膨らんだ肺胞が虚脱するのを防ぐという一連の手技です。
これは吸気の後にPEEPを長い時間保持することで、吸気終末ポーズ(EIP)の効果を得ることができます。
膨らみにくい虚脱した肺胞へガスが流れ込ませることができるわけです。
肺リクルートメント手技については、現在のところ標準的な方法はありませんが、「気道内圧が高い+時間が長いほど効果は大きい」ことが分かっています。

人工呼吸を行っても肺胞での含気が改善しない部分での含気を回復させるためには、最高気道内圧よりもさらに高い圧が必要であり、肺障害が重症なほど含気を取り戻すために長時間の高い圧が必要だったという臨床研究での結果があります。

設定される換気モードはPCVやBiLEVEL(あるいはAPRV)ですが、自発呼吸のままに換気すると圧を保持できない場合もあるため適切な沈静が必要です。
再開通した肺胞の含気を維持するためには、施行前より高いPEEPに設定して再虚脱を防ぐ必要があります。
肺リクルートメント実施中の注意点は何ですか?
肺リクルートメントでは虚脱した肺胞を再開通するために高い気道内圧を加えます。

そのために気道内圧が上昇し気胸などの肺障害の危険性が、また胸腔内圧も上昇するため循環抑制から血圧低下を惹起するおそれがあります。
これらを避けるためにも肺リクルートメントは必要最低限の圧から開始し直接動脈圧のモニタリング下で実施することが必要です。
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