人工呼吸器の安全管理
人工呼吸器の安全管理という観点から、各モードでの重要なアラームや観察ポイントについて解説いたします。
- 人工呼吸器管理のポイントは?
- 人工呼吸管理で重要なポイントは、人工呼吸は呼吸(Respiration)の中の換気(Ventilation)をサポートしている機器であり、生命維持装置であるという点です。
したがって人工呼吸器のトラブルは、致命的な結果へとつながる危険性があることを認識する必要があります。
また、IPPV(侵襲的陽圧換気)においては、人工気道が留置され、非生理的な陽圧換気を行うため感染や肺障害等の合併症も問題となります。したがって人工呼吸器が装着されている患者を管理し、速やかにウィニング(離脱)させるためには、安全管理と合併症予防が重要となります。(合併症に関しては4月以降解説予定にしております。)
- 人工呼吸器のトラブルで特に注意が必要なものは何ですか?
- 人工呼吸器のトラブルで一番危険なトラブルは、換気トラブル(換気量低下もしくは中断)です。
換気トラブルの原因として
1. 人工呼吸器本体の故障
2. 電源トラブル
3. 自発呼吸との不同調(ファイティング/バギング、トリガー不全)
4. エアリーク
5. 回路やチューブの閉塞
6. 自発呼吸の減少
等があげられます
- 換気トラブルを早期発見するために必要なアラームには何がありますか?
- 換気トラブルを早期発見するために必要なアラームを、モード毎に表1にまとめました。
また患者に対する一層の安全対策のために、人工呼吸器のアラームとは独立して、生体情報モニタとしてパルスオキシメータやカプノメータを併用することが勧告されています1)。 
- 1) 医薬発第248号平成13年3月27日「生命維持装置である人工呼吸器に関する医療事故防止対策について」
- A/C;Assist Control(補助/調節換気)モードで必要なアラームと観察ポイントは何ですか?
- A/Cは強制換気のみのモードで、自発呼吸がないもしくは非常に弱い患者に使用されるモードです。
したがってA/Cでは、エアリークや閉塞による換気トラブルに注意する必要があります。
低圧アラームや低換気量アラームが発動した場合、まずエアリークを疑い換気量をチェックし、回路やカフを確認し(図1)、直ちに是正する必要があります。
換気様式PC;Pressure Control(圧規定)においては、肺コンプライアンスの低下や、気道抵抗の上昇による換気量低下も考えられるため、低換気量アラーム発生時には肺の状態評価も必要です。
また、換気様式VC;Volume Control(量規定)においては、エアリークが無いにも関わらず回路内圧が低下している場合、患者の自発呼吸が出現し、その要求が設定された換気量や流量を超えていることが考えられます。
これらの注意点は、強制換気と自発呼吸が混在するSIMVモードでも同様です 
- spontaneous(自発呼吸)モードで必要なアラームと観察のポイントはなんですか?
- spontaneousモードは、自発呼吸が認められ比較的換気量が確保できている患者に使用されるモードです。
A/Cと同様エアリークや人工呼吸器の接続はずれに細心の注意を払う必要がありますが、呼吸回数や換気量等、全て患者に依存しますので自発呼吸の減少や無呼吸状態を早期発見することが最も重要となります。
したがって低換気量アラームや無呼吸アラーム、換気量等患者データの観察、患者の呼吸音の観察が必要になります。
また自発一回換気量が不足すると、代償的に頻呼吸となる傾向を認めます。
この頻呼吸を見逃すと呼吸筋疲労が発生し、ウィニングに失敗する危険性がありますので、呼吸回数も重要な観察項目となります。
SIMVモードの観察のポイント
- SIMV; Synchronized Intermittent Mandatory Ventilation (同期型間欠的強制換気)モードで必要なアラームと観察のポイントは何ですか?
- SIMVは、強制換気と自発呼吸を組み合わせたモードですので、両者に対する注意が必要となります。
特に低換気量アラームの中でも低分時換気量アラームに関しては、補助分時換気量と自発分時換気量を併せた総分時換気量を考慮してアラームを設定しなければ、自発呼吸の減少や消失による換気量低下の発見が遅れる可能性があるため注意が必要です。 

