メールマガジン

レスピラトリー事業部 メールマガジン Vol.8 2010/09/01

[ We live and breathe excellence in RESPIRATORY care. ]

Our User’s Voice

呼吸ケアのベストパートナーを目指すコヴィディエン ジャパン株式会社 レスピラトリー事業部の製品をお使いいただいている先生方にお話を伺います。

今回は 術後合併症について東京女子医科大学麻酔科 尾﨑眞先生にお話を伺いました。

「麻酔科医が直面している周術期合併症。特に頻度も重篤度も高い合併症は・・」


尾﨑 眞(おざき まこと)先生 ご経歴

学歴
1981年 旭川医科大学医学部医学科 卒業

職歴
1981年 東京女子医科大学麻酔科 研修医
1983年 東京女子医科大学麻酔科 助手
1984~1991年 東京女子医科大学麻酔科関連病院麻酔科、集中治療部出張
1992~1994年 University of California, San Francisco (UCSF) 麻酔科 Research Fellow
1995年 東京女子医科大学麻酔科 講師
1998年 東京女子医科大学麻酔科 助教授
2000年4月~現在 東京女子医科大学麻酔科 主任教授

主な学会活動
  • 日本麻酔科学会 代議員
  • 日本臨床麻酔学会 理事
  • 日本静脈麻酔学会 理事
  • International Anesthesia Research Society (IARS): Board of Trustee
  • Anesthesia & Analgesia: Associate Editor

学術関連受賞
1992年 Augustine Medical Thermoregulation Research Scholarship  受賞
1995年 日本私立大学麻酔科教授会議優秀論文賞 受賞
1998年 5th America-Japan Anesthesiology Conference, Best Presentation Award

2回にわたって、術後合併症についてお話をお聞かせいただきたいと思っております。まず周術期の合併症にはどのようなものがありますでしょうか?

手術後の合併症は大きくふたつに分けられると思います。ひとつは、外科手術の手技そのもので起こる合併症で、例えば、吻合不全によるリークや出血などがあります。もうひとつは、全身管理にかかわる循環系や呼吸器系の合併症などです。

それでは麻酔科医が直面している周術期の合併症とはどのようなものがありますか?

先ほどお話しした中で、全身管理にかかわるもの、つまり循環器系と呼吸器系の合併症が麻酔科の直面している合併症です。例えば、循環器系の合併症には、心筋の虚血性変化や致死性不整脈などがあります。呼吸器系の合併症には、挿管困難や歯牙損傷、術後嗄声、そして術後の肺炎などがあります。

その中でも、特に注意されている合併症は何でしょうか?

合併症はどれも嫌なものです。循環器系の合併症は生命に直結することが多いため、もちろん重篤ではありますが、これはもともと患者さんに素地がある場合も多いのです。ですから、術前に虚血や心筋梗塞があれば循環動態により気を配りますが、それでも起こってしまう合併症は不可避的なものでもあります。しかし、麻酔科医が術中に全身管理を行うときに直接手を出す部分、つまり気道や口腔で起こる合併症には特に神経を使います。例えば、挿管時に歯を折る、挿管したことで嗄声が起こる、食道挿管で低酸素血症になる、または、挿管は問題なかったがチューブを入れたことで声帯の軟骨の亜脱臼を起こす、術後抜管できずに肺炎を起こすなど、気道確保に関連することです。

先生が今お話しくださった中の、挿管手技に関わる合併症について、どのような対策がありますでしょうか?

まずは教育や研修を通じて、喉頭鏡の手技に熟練することが重要です。大学は教育機関ですから、たくさんの研修医がいます。そういう点で、ビデオ喉頭鏡などを利用して教育することも重要です。また、現場で実際にビデオ喉頭鏡を使用し、丁寧に挿管することで、歯牙損傷や嗄声を減らすことができ、かつ迅速に挿管できるのではないかと考えています。そのほかにも、挿管困難症がありますが、これに対しても、視野角を変えて見ることができるデバイス、ビデオ喉頭鏡が有用だと思います。

手術室で起きる合併症については、教育や研修とともに、ビデオ喉頭鏡等のデバイスも重要ということですね

その通りです。

ではその後、手術室の外で起きる合併症にはどのようなものがあるのでしょうか?

その後に発生する合併症には、先ほどお話しした吻合部のリークや出血などの合併症がありますが、昨今のデバイスの進化で低減していると思います。我々麻酔科医が直接関与する全身管理に関わる合併症も、モニタリングや管理方法の発達と充実で低減してきていると思います。
しかし、これらの合併症のなかには入院期間を長引かせる心血管系の合併症や感染症があります。感染症として端的に現れるのは肺炎で、実は意外に多く発生しています。Postoperative Pulmonary Complication, PPCと呼ばれるいわゆる、術後肺合併症のひとつですね。

PPCというのは聞きなれない言葉ですが、どのような疾患なのか教えていただけますか?

PPCとは術後に発生する肺の合併症のことで、肺炎・呼吸不全・無気肺・慢性肺疾患の急性増悪を指します。さらにARDSや気管支痙攣、気管支炎や周術期低酸素血症なども含まれます。

PPCはどのくらいの頻度で発生するのですか?

実は僕もデータを見て驚いたのですが、思った以上に高い頻度で発生しています。今年のInternational Anesthesia Research Society(IARS)年次大会で発表された2008年のアメリカのデータによると、その平均発生率は13.1%で、疾患別にみるとCABGの術後の発生率が一番高く、なんと70%以上となっています。
これをアメリカ全体に試算すると、年間106万人の患者にPPCが発症し、それにより46,200名が死亡し、入院日数がのべ290万日、ICU滞在日数がのべ190万日延長し、追加医療コストが120億ドル、日本円に換算すると約1兆円にもなります。

PPCを合併すると、患者にどのような影響をもたらしますか?

同じデータによると、術前には肺に問題のなかった患者で、術後に院内死亡した患者の70.3%にこのPPCが関与しているといわれています。
ここで重要なのは、この肺合併症が心血管系の合併症と同様に重篤であるということです。生命に直結する心血管系の合併症の方が重篤というイメージがありますが、術後の心血管系の合併症と肺合併症の転機を比較した文献によると、両群の死亡率に有意差はありません(図1)。しかも驚いたことに、入院期間に至っては、肺合併症の方が心血管系合併症よりも延長するのです(図2)。


図1

図2

びっくりしました。術後合併症にPPCといわれる肺合併症が多く発生し、しかもそれは、心血管系の合併症と同じかそれ以上に重篤であるということですね。
では、このPPCの中で最も多い疾患は何ですか?

ずばり肺炎です。

では、次回は術後肺炎について、お話しいただきたいと思います。ありがとうございました。


出展学会のご報告・ご案内

コヴィディエン ジャパン株式会社レスピラトリー事業部が出展・企画した学会やセミナーのご報告です。

第32回日本呼吸療法医学会学術総会

7月24日~25日に東京 京王プラザホテルにて標記学会が開催され、コヴィディエン ジャパンも出展いたしました。エアウェイマネージメント製品は、術後肺合併症の低減をコンセプトとした新製品のテーパーガード エバック™、安全・容易な挿管を可能にするビデオ喉頭鏡 マルチビュースコープを展示、モニタリング製品としてはNellcor™のボードを搭載したOEM各社の生体情報モニタを展示し、非常に多くのお客様にご来場いただきました。


さらに、24日には北里大学医学部救命救急医学 相馬一亥先生・京都府立医科大学集中治療部 志馬伸朗先生を座長に「VAPシンポジウム ‐ VAPの現状と予防、診断、治療、医療経済 ‐」を共催いたしました。
本シンポジウムの模様は、今秋発売の「呼吸ケア」(メディカ出版)にも記事として掲載される予定です。ご参加いただけなかった先生方、ぜひご覧ください。


シンポジウムの様子を収めたDVDを作成いたしております。会場にお越しいただけなかった先生方に配布させていただきますので、ご希望の方は弊社営業担当者へお申し付けいただくか、こちらまでメールでお申し込みください。

今後予定している学会出展等

むこう3ヶ月、PMAビジネスユニットが出展等を予定している学会です。

学会名 会期 会場
第24回日本手術看護学会年次大会 2010年9月17日(金)-18日(土) 国立京都国際会館
第38回日本救急医学会総会・学術集会 2010年10月9日(土)-11日(月) 東京ビッグサイト
日本心臓血管麻酔学会第15回学術大会 2010年10月9日(土)-10日(日) ザ・プリンスパークタワー東京
第12回日本救急看護学会学術集会 2010年10月29日(金)-30日(土) 京王プラザホテル(東京)
第62回日本気管食道科学会総会ならびに学術講演会 2010年11月4日(木)-5日(金) 別府国際コンベンションセンター
日本臨床麻酔学会 第30回大会 2010年11月4日(木)-6日(土) アスティとくしま
徳島グランヴィリオホテル
第55回日本未熟児新生児学会・学術集会 2010年11月5日(金)-7日(日) 神戸国際会議場
第7回東アジア音声外科学会 2010年11月26日(金)-27日(土) 学術総合センター(東京)

COVIDIEN Respiratory Care Seminar (CRCS) レポート

COVIDIEN Respiratory Care Seminarは、呼吸管理に造詣の深い先生方の監修の下、医療の第一線でご活躍の先生方を講師にお招きし、人工呼吸管理の基礎や、合併症予防、安全管理、呼吸ケアの最新情報をお届けするセミナーです。 患者により良い結果をもたらすためのヘルスケアソリューションを創出し提供するとともに、より安全で質の高い呼吸管理を行うための情報を提供し、医療に従事する皆さまをサポートしてまいります。

人工呼吸管理セミナー

2010年8月7日に、九州大学医学研究院 麻酔・蘇生学 教授 外須美夫先生監修「人工呼吸管理セミナー」を開催いたしました。
243名の看護師、臨床工学技士、医師の皆さまにご参加いただきました。

  • 酸素療法と気道確保:森川敬子先生:九州大学医学研究院 麻酔・蘇生学 助教
    まず、酸素の必要性、低酸素症と低酸素血症、低酸素血症の原因をお話しいただき、酸素投与法、気道確保法、気管挿管法を、図や写真をふんだんに使用して、分かりやすくご講義いただきました。
  • 人工呼吸器の基礎知識:米倉 修司:弊社クリニカルサポート部
    人工呼吸器の基本モードであるA/C、CPAP/PS、SIMVについて、グラフィックなどを使用して解説しました。
  • 周術期の呼吸器合併症:藤村直幸先生:九州大学病院 麻酔科蘇生科 助教
    周術期合併症のリスクファクター、発生機序、予防法を、分かりやすい図やCT写真を使用して、特に無気肺について詳細にご講義いただきました。また、人工呼吸関連肺炎:VAPについてもご解説いただきました。
  • 人工呼吸管理における肺保護戦略:坂口嘉郎先生:九州大学病院 救命救急センター 准教授
    まずARDS、VAP、VILIについてご解説いただき、肺保護戦略について、低一回換気量、肺リクルートメント手技、高PEEP、APRV、腹臥位療法について、最新のエビデンスを使用して、実践に基づいたご講義をしていただきました。

講義終了後の質疑応答も活発で、参加された方々からも、大変良い評価をいただくことができました。


また、弊社の製品展示も行い、実際に人工呼吸器を体験いただいたり、気管チューブカフの模擬痰によるリーク実験などにもご参加いただいたり、大変好評でした。

COVIDIEN Respiratory Care Seminarは今後も全国で開催してまいります。
ご興味のある方はこちらをご覧ください。

技術講習会のご案内

臨床工学技士の方を対象に、米国本社で行っているBMET(Bio-Medical Equipment Technician)向け講習会と同じカリキュラムで、人工呼吸器や各種モニタの技術講習会を少人数制で開催しております。
積極的に機器のメンテナンスに取り組んでいらっしゃる、もしくは今後院内でのメンテナンスをご検討されているお客様に有意義な講習内容となっており、修了された方には認定証を発行いたしております。
また、受講修了されたお客様がお勤めのご施設には、ご希望によりメンテナンス部品等を提供させていただきます。
詳細は、弊社担当員へお問い合わせください。

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