レスピラトリー事業部 メールマガジン vol.23 2012/02/01
[ We live and breathe excellence in RESPIRATORY care. ]
今さら聞けない酸素療法 ~教えて、大江先生~
茅ヶ崎徳洲会総合病院大江元樹先生による酸素療法に関するレクチャー。
第3回は「酸素療法の目標値」についてです。
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酸素療法の目標値
酸素療法の目標値はいくつにすべきか?(PaO2, PaCO2, SpO2)
第1回にお話したように、酸素療法の開始にあたってまず考えるべきことがこの「目標値」です。酸素化(PaO2,SpO2)と換気(PaCO2)の両方を考えます。Ⅰ型呼吸不全の場合は、酸素投与に伴うCO2蓄積(CO2ナルコーシス)のリスクがないため、主に酸素化だけを問題にすればよいのですが、Ⅱ型呼吸不全の場合は面倒です。適切な酸素化とCO2レベルの両立が望まれます。
1. 酸素化
まずPaO2について考えてみましょう。下図は誰もが1回は見たことがある図だと思いますが、大事な点はPaO2はPAO2(肺胞内酸素分圧)よりも必ず低いということです。

参考文献1)
このPAO2に関しては以下の肺胞気式というものがあります。
PAO2=FiO2×(PB-47)-1.2×PACO2 (PB:大気圧 PACO2:肺胞内二酸化炭素分圧)
この式の意味しているところはPAO2は吸入酸素濃度とCO2レベルで決まるということです。そしてPAO2とPaO2の差がA-aDO2(肺胞動脈血酸素分圧較差)といわれるもので、肺実質の障害の程度を表します。したがって、PaO2は何で決まるかといえば、上限がPACO2ですから、吸入酸素濃度・PaCO2レベル・肺実質の障害の程度の3つの因子で決まることになります。Ⅰ型呼吸不全の場合はPaCO2レベルは正常か正常以下ですので、あまり問題になりません。そのため吸入酸素濃度と肺実質の障害に左右されることになります。簡単に言えば酸素化をよくするためには、肺実質の障害はすぐには改善できないことが多いので、吸入酸素濃度をあげることが先決です。
目標値の基本は最低限PaO2>60mmHgあるいはSpO2>90%を目指します(いわゆる低酸素血症の改善)。酸素療法の目標は第1回でお話したように、低酸素血症の改善だけでなく、低酸素症の改善が目標です。敗血症の際はPaO2 100mmHgあっても、末梢組織での酸素需要が高まっているので酸素化としては不十分な場合があります。末梢で酸素供給が不足すると、嫌気代謝となり乳酸が産生され血液は代謝性アシドーシスとなります。
<病態別の目標値>
個々の病態でガイドライン上で目標値が設定されているものがあります。
- 急性心筋梗塞
- 肺うっ血やSpO2<90%に対する酸素療法(レベルB)
- 急性心不全
- SpO2>95%, PaO2>80mmHgを維持(レベルC)
- 気管支喘息
- SpO2 95%あるいはPaO2 80mmHg前後
- COPD急性増悪
- SpO2>90%あるいはPaO2>60mmHg
2. 換気
PaCO2は肺胞換気式で決定されます。

この式からわかるように、PaCO2は純粋に肺胞換気量に反比例するということです(VCO2は臨床上あまり大きく変化しない)。
肺胞換気量は
肺胞換気量=1回換気量-死腔換気量
です。通常成人で死腔換気量は約150mlです。例えば、1回換気量が450mlで呼吸回数12回/分とすると、肺胞換気量は
(450-150)×12=3600ml/min
となります。この時PaCO2=40mmHgとすると、呼吸回数は変わらずに1回換気量が450mlから350mlに減少した場合、同様に肺胞換気量は
(350-150)×12=2400ml
となり、最初の状態の3600mlの2/3に減少します。そうすると、この時のPaCO2は肺胞換気量に反比例するわけですから、3/2倍になります。したがって、

に上昇します。酸素療法のPaCO2レベルも目標値は、Ⅰ型呼吸不全の場合は正常値の40mmHgを目標にします。ただしARDSの場合、肺のコンプライアンス(柔らかさ)が高度に低下するので、十分な換気量が保てません。無理をすると気道内圧を上げてしますので、pH 7.2程度までのPaCO2上昇(PaCO2<80mmHg)は許容します(permissive hypercapnia)。Ⅱ型呼吸不全も急性の場合はやはり、正常値の40mmHgを目指しますが、臨床的に多いのが慢性Ⅱ型呼吸不全の急性増悪です。この場合、もともとのPaCO2レベルを目指します。もともとPaCO2=60mmHgであればその値が目標となります。特に、人工呼吸管理の場合、分時換気量を多くしすぎてPaCO2を目標値より下げすぎないことが大切です。
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第3回のまとめ
次回は「鼻カニュラ」についてお話いただく予定です。 |
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新製品のご案内
人工呼吸器管理中や麻酔中の気管チューブ及び気管切開チューブのカフ内圧管理をサポートする自動カフ圧コントローラのご案内です。
自動カフ圧コントローラ大容量低圧カフを用いたカフ内圧管理の重要性については認知されていますが、実際の臨床業務において適切なカフ内圧管理を行うのは困難といわれています。このたび、正確なカフ圧管理のサポートを行うことができる自動カフ圧コントローラを発売いたしましたので、紹介させていただきます。
より正確、広範囲な圧調整
- マイクロプロセッサにより、カフ内圧の制御、調整、自動維持を行います。
カフ内圧に起因する気管損傷や微少誤嚥のリスクを低減するためにお役立ていただけます。 - 0~99cmH2Oにわたる広範囲のカフ圧を調整できるため、さまざまな人工呼吸器設定でご使用いただけます。
安全性
- 可聴及び可視アラームにより、カフ圧の変化や接続外れをお知らせします。
- 始動時にカフ内圧が自動的に25cmH2Oとなる自動設定機能を有し、使用開始時におけるカフの過膨張等によるリスクを低減します。
使いやすさ
- 見やすいボタンで、操作は簡単です。
- 大型LCDディスプレイにより、カフ内圧の確認が容易です。
- 内蔵バッテリを有し、停電時や搬送時にも使用できます。
- ユニバーサルクランプで、水平レールやポールへ取り付けが可能です。

医療機器届出番号:13B1X00069VB002A
製品についての詳細な説明やサンプルをご希望の方は、こちらもしくは弊社担当者までご連絡下さい。
製品カタログはこちらでご覧いただけます。
レスピラトリー事業部取り扱い製品のご案内
今月より毎号、コヴィディエン ジャパン株式会社レスピラトリー事業部で取り扱っております製品について、ご案内させていただきます。第1回はパルスオキシメータをご紹介いたします。
パルスオキシメータとは?
パルスオキシメータは動脈血酸素飽和度(SaO2)を非侵襲的・連続的にリアルタイムで測定する呼吸管理モニタです。パルスオキシメータで測定した動脈血酸素飽和度はSpO2であらわされます。SpO2は第5のバイタルサインとも呼ばれ、SpO2をモニタリングすることは低酸素血症の早期発見に有用です。

参考文献1)
現在コヴィディエン ジャパン株式会社が販売しているNellcor™のパルスオキシメータは、1985年に発売されたN-100以降、技術開発を重ね、現在ではハンドヘルド型N-65™をはじめN-560™ ・N-600™xという3種類のパルスオキシメータへと進化しています。
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| Oximax™ N-65™ 医療機器認証番号: 218AABZX00066000 |
Oximax™ N-560™ 医療機器認証番号: 218ADBZX00012000 |
Oximax™ N-600™x 医療機器認証番号: 218AABZX00096000 |
今回はN-600xに搭載されているアラーム・マネジメント・システム(Alarm Management System:以下AMS)の2つの機能をご紹介します。
病棟でベッドサイドにあるパルスオキシメータのアラームが鳴っているので、慌てて駆けつけたが、患者には何の異常もみられなかった。
そんな経験をされたことは少なからずあるのではないでしょうか。
そのようなことが繰り返されていると、アラームが鳴っても「またいつものアラームか・・」と、アラームを煩わしく思うようになるかもしれません。AMSはそのような煩わしく思いがちな“フォルスアラーム”を減少させ、本当に必要な時にアラームを鳴らす機能です。
SatSeconds™
SatSecondsはアラーム制限値を超えたSpO2(%)と超えた時間(秒)を積算することで定量化し、あらかじめ設定したSatSeconds制限値(10・25・50・100)に達したときにアラームを鳴らす機能です。
たとえばSatSecondsを50に設定した場合
- アラーム制限値を5%下まわる×10秒
- アラーム制限値を10%下まわる×5秒
となった場合にアラームが鳴ります。

これにより頻回に鳴るアラームを制御し、SpO2の低下が臨床的に重大な場合にアラームが鳴りますので、瞬間的に起こる軽度なSpO2低下を識別することが可能です。
さらに安全性を高めるセーフティネット機能を有していますので、SpO2が60秒以内に3回以上アラーム制限値を下回った場合には、SatSecondsの設定を超えていなくてもアラームが鳴ります。

このSatSecondsの機能はN-560およびN-600xに搭載されています。

SPDアラート
術後の鎮静剤使用時での緊急事態で最も多いのが、呼吸抑制であるという報告があります2)。 2006年にAnesthesia Patient Safety Foundationは術後の換気障害を安全構想の基軸ととらえ、提言を出しています3)。 この問題に関しては数多くの症例報告やニュース記事があり、またワークショップにおいても低換気を即時に認識し、患者のリスクを軽減することに重点を置いていますが、その解決策としてNellcorは繰り返し起こるエアフローの減少を記録し、警告となるようなサチュレーションのパターンを特定することだと考えました。

SPDは「Saturation Pattern Detection」の頭文字を表しています。Nellcorが独自に開発したアルゴリズムにより、サチュレーションのパターンを連続的に確認し、SpO2トレンドの波形の深さ・角度・頻度・持続時間などを多くの変数に基づいて定量化したものです。患者のSpO2がアラーム制限値を下回ることがなくても、SpO2低下のパターンが懸念すべきものであった場合にはアラームにより特定します。
製品についての詳細な説明や製品デモをご希望の方は、こちらもしくは弊社担当者までご連絡下さい。
製品カタログはこちらでご覧いただけます。
| 参考文献 | |
| 1) 2) 3) |
”Recognizing and preventing hypoxemic injury risk on the general care floor.” Eichhorn JH., J Healthc Risk Manag. 2003; 23 (1): 17-23 “Opioids and Code Blue Emergencies,” K. Fecho, L. Joyner and D. Pfeiffer, Anesthesiology 2008, 109: A34 “Safety During Patient-Controlled Analgesia,” Robert K. Stoelting, President, Anesthesia Patient Safety Foundation (APSF), APSF Board of Directors Workshop, Chicago, October 2006 |
Covidien Respiratory Care Seminarのご案内呼吸管理に造詣の深い先生方の監修の下、医療の第一線でご活躍の先生方を講師にお招きし、人工呼吸管理の基礎や合併症予防、安全管理、呼吸ケアや周術期管理の最新情報をお届けするセミナーです。
上記以外の開催予定につきましては、詳細が決まり次第あらためてメールマガジン・弊社ホームページを通じてお知らせいたします。 出展学会のご案内むこう半年間にコヴィディエン ジャパン株式会社レスピラトリー事業部が出展を予定している学会等をご案内いたします。
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なお、2月28日より幕張で開催されます第39回日本集中治療医学会学術集会では、本メールマガジンにおきまして「今さら聞けない酸素療法」を連載いただいております茅ヶ崎徳洲会総合病院の大江先生を演者にお迎えし、ICUにおける酸素療法について講演いただきます。ぜひ会場にお越し下さい。
第39回日本集中治療医学会学術集会教育セミナー2
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TM*を付記した商標はSouthmedic IncSouthmedic Inc.の商標です。
技術講習会のご案内
臨床工学技士の方を対象に、米国本社で行っているBMET(Bio-Medical Equipment Technician)向け講習会と同じカリキュラムで、人工呼吸器や各種モニタの技術講習会を少人数制で開催しております。
積極的に機器のメンテナンスに取り組まれている、もしくは院内でのメンテナンスをご検討されている方々に有意義な講習内容となっております。修了された方には認定証を発行し、希望されるご施設にはメンテナンス部品等をご提供いたします(一部製品を除く)。
詳細は、弊社担当員へお問い合わせ下さい。
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